2019.04.04

“魔入りました!入間くん”
西修先生
レジェンドインタビュー

驚異的な早さでスターダムにのし上がった未来のレジェンド!!西修先生の、
初のロングインタビューを掲載!! 週チャンへの想いと「入間くん」を熱く語る!!

急きょ決まった連載。
週刊連載にチャレンジし、一気にヒット作へ。

本誌好評連載中の“悪魔学校スクールライフコメディ” 『魔入りました!入間くん』が2019年10月からアニメ放送決定! その作者である西修先生にコメントをいただいた。
「アニメ化のお話をいただいたときはとにかく驚いて、そのあとでゆっくりとうれしさが湧き上がってきました。毎話、脚本を読ませていただいているんですけど、ものすごく丁寧に作ってくださっていて感動します。とくに入間くん好きの方に向けてのファンサービスがすごい(笑)。どのようなアニメになるのか楽しみにしている読者のみなさんに『これは凄いぞ』と言いたいですし、とにかく早く、みなさんに届けたくてたまらないです」

入間くんの連載がスタートしたのは2017年3月。
信じがたいことだが当初は一回こっきりの読み切り作品として掲載される予定だったという。

「ダークファンタジーの連載用ネームを他誌で準備していたのですが思うようにいかず、逆に楽しく笑えるものを…と思い、今の担当さんと打ち合わせをして『入間くん』の読み切り用ネームを描きました。すると、当時の編集長が『面白いから、そのまま連載しよう!』と言ってくださったそうです」

ちなみに、その読み切り用ネームを提出したのは2016年12月、そして当時の編集長から打診された新連載の開始時期は翌17年の2月からという無茶なものだった。
「実質2か月もないような準備期間で週刊連載開始は無理ですよって言ったんです。そしたら担当さんも『確かに2月中は難しいですよね。わかりました!』と言ってくれて、よかったと胸をなでおろしていたら、『じゃあ3月2日売りの号からってことで!』。2月って28日までしかないわけだから、普通の月の31日みたいなものじゃないですか(笑)」

いかにもチャンピオンらしい力技なエピソードである。だが、熱量そのままに始めた連載は絶好調、一気にヒット作へと昇華した。大反響を得た“悪魔学校スクールライフコメディ”というテーマを、西先生はどのようにして思いついたのだろうか。
「せっかくマンガなんだから、現実的には存在しないもの、起こらないことが見たいなって思って。私自身、とにかく目立ってて、変で、見た瞬間に『なんだコイツ!』っていうキャラクターを見るのも作るのも大好きなんです。見ているだけでワクワクする悪魔や鬼が溢れている、そんな異世界にひとりだけ優しい人間(=入間くん)がいたらどうなるんだろう? と想像したのが、そもそものきっかけです。そんなところでキャラクターたちがワチャワチャしていたら、なんだか楽しそうじゃないですか」

その言葉通り、入間くんには愛らしくも個性的な悪魔たちが何人(何体?)も登場する。そのうちメインヒロインの二人であるウァラク・クララと、生徒会長のアザゼル・アメリについての設定秘話も語られた。
「クララに関しては、アメリカのアニメーションの影響をものすごく受けています。向こうのキャラクターってブッ飛んでいるじゃないですか。そういう子が日本のマンガにはあんまり出てこないから、いっそのことヒロインのポジションに置いてみようと思いました。はちゃめちゃに動くので、描くのは大変だけど楽しいです。
アメリは、アザゼル家という魔王の別名といわれるような悪魔の名門出身。強いんだけど乙女だというイメージは元々ありました。あとはクララとは対照的なタイプにしたかったので、じゃあいっそのこと身体をデカくしちゃおうと(笑)。人間である入間くんと体格差があったほうが、絵的にもおもしろいんじゃないかと思って。ステキなキャラに育ちましたね」

ハイパーウルトラハッピーな物語にしたいんです。

西修●にし おさむ

愛知県豊橋市出身。
2011年に『少年K』が集英社の漫画賞を受賞し、掲載デビュー。
その後、『ホテル ヘルへイム』を2014年-2015年まで「ジャンプSQ」(集英社刊行)で連載した。
週刊少年チャンピオンでは『魔入りました! 入間くん』が初連載。

連載開始から2周年を突破。自身初というハードな週刊連載を支えてくれたのは、「なんといっても読者からの反応」だったと西先生は言う。
「月刊誌と比べて、週刊誌は読者の反応が早いところが魅力ですよね。描いたらすぐ返ってくる感じがします。『おもしろいです』『楽しいです』という感想ももちろんうれしいんですけど、『つらい時に読んでます』とか『入間くんを読んで、一日がんばります!』といった感想をいただくと、本当にマンガを描いていてよかったと思います。誰かを支えられたんだ、私は意味のあることをやっているんだ! という実感がすごく湧いてきて。
もうね、私、ハイパーウルトラハッピーな物語にしたいんです。主人公がイジメられるマンガや挫折するマンガが個人的には苦手で…。マンガを読むとき、主人公に感情移入するタイプなので、主人公が嫌な目にあったりするとすごく辛い気持ちになるんです。だから、せめて自分のマンガでは『さあ、次はどうやって入間くんをほめてやろうかな』って、そんなことばかり考えてます。
ちょっと前の遊園地編(単行本9巻に収録)ではシリーズ初のバトル展開があり、大変なチャレンジだったんですが、そこでも明るく、楽しく、を強く意識して描きましたね」

さらに、プライベートについても話をうかがったところ、西先生の口から飛び出したのは意外な名前だった。
「仲がいいのは(板垣)巴留さんです。一緒に飲みに行ったり、映画に行って批評しまくったり(笑)。歳が近いし、連載開始時期もほぼ同時だし、ライバルだと思っているので。えへへ。
巴留さんとは話の作り方、表現の仕方はまったく違うんですけど、お互いにおもしろいと思うところは同じなんだろうなって感じてます。ここで主人公がヒロインを助けなくてどうする!という(少年マンガの王道の)展開を『BEASTARS』もやっているし、入間くんでも描いているつもりなので、その感覚は共通していると思います」

また、同じくチャンピオン作家である盆ノ木至先生の名前も上がった。『吸血鬼すぐ死ぬ』の作者で、『魔入りました!入間くん』とのコラボレーション(2018年22・23号)は話題を呼んだ。
「コラボのときはとても楽しかったですよ。お互いのキャラクターを交換して描いたんですけど、こんなの描きましたって絵を送りあったり、うちのキャラが『吸血鬼すぐ死ぬ』の世界に行ったらこうなりますねってお話をしました。
あとは、盆ノ木先生が本当に頭のいい方なので、宇宙の話などをされてました(笑)。『いずれ人類はロボットによって破滅の道を歩みますよ』とか(笑)。おもしろい方だし、本当に尊敬しています。
『六道の悪女たち』の中村勇志先生もそうですが、同年代に連載がはじまったみなさんとの交流は刺激になりますし、雑誌そのものの勢いのようなものを感じます。
自分はいま本当に、いい《戦場》にいるなと思います。お互いに肩を貸し合ったり、ときには斬り合ったり(笑)」

最後に、チャンピオン50周年の記念コメントをいただいた。
「50周年、おめでとうございます。偉大な先生方が築き上げてこられた50年という歴史の中の、ほんの2年間ですが(チャンピオンを)支えるひとりとして加えていただいたことをものすごく光栄に思います。これからは下から支えるだけでなく、上へ上へと登って、引っ張っていけるようになりたいと思っています。とにかく、いまいちばん勢いがあって、いちばんおもしろいマンガが載ってる雑誌が週刊少年チャンピオンだと思っているので、そんな場所で才能あふれる先生方と勝負できていることがとってもうれしいです。読者の皆様、これからも入間くんを末永くよろしくお願いします!」